ムースコール

2009年10月7日水曜日

メディケア給付のカット:嘘かまことか

ヘルスケア改革法案をめぐる議論の火種の1つは、上院・下院で提案されている法案がメディケア受給者のベネフィットを削減するものであるかどうかだ。当然のことながら、高齢者を結集させる最も早い方法は、高齢者の給付内容を削減する法案を出すことだ。ヘルスケア改革反対派は、両院から出された各法案は実にそれを行っていると主張している。この主張は正当なのだろうか?
ひと言で言うなら、答えはイエスだ。少なくとも、民間保険会社がメディケアから資金を受けてパートAおよびBに代わる給付パッケージを提供する、メディケア・アドバンテージ(MA)プランに加入する受給者にとってはそうである。両院の法案共に、最も大きな節減元は、MAプランへの支払いの変更によるものである。
当初は、民間保険プランがメディケアに参加することによって、受給者は出来高払い(Fee-For-Service、FFS)のメディケアよりも質の高いコーディネートケアを受けられるようになるのではと期待されていた。また、民間保険プランは、従来のメディケアよりも効率性が高ければメディケアの節減につながる可能性すらあると考えられていた。例えば、メディケア受給者1人の医療サービスに対するメディケアプログラム年間平均コストが1万ドルである、国内のある地域において、民間保険プランなら1万ドル未満で同じ給付内容を提供できるかもしれない。もしメディケアから民間保険プランへの支払いは9,750ドルで、プランは9,500ドルで給付を行えるなら、メディケアプログラムにとっては250ドルの節減、民間保険プランにとっては、250ドルの追加利益となる。しかし近年では、プランに参加を促すため、議会が設定しているMAプランへの支払いの基準となるベンチマーク(その率は郡ごとに定められている)は、ほとんどの地域において、該当地域での受給者あたり平均メディケアコストを優に上回っている。
MAの支払いメカニズムは、郡ごとに、各プランがベンチマーク率に対し入札を行うというものだ。入札額がベンチマークより低ければ、そのプランは入札額に加え、入札額とベンチマークの間の差額の75%を受け取る。残りの25%は、メディケアが保持する。つまり、ベンチマークが1万2,000ドルでプランの入札額が1万1,000ドルの場合、プランは1万1,750ドルを受け取ることになる。MAのルールによれば、プランは追加で獲得した750ドルを、追加給付の形で受給者に提供しなければならない。この例では、受給者は750ドル分の追加給付を受けることになる。
しかし、通常のメディケアFFSと比較して、各郡における受給者あたり平均コストはずっと高い。上記の同じ例では、メディケアは、コスト1万ドルではなく、1万1,750ドルをプランに支払っている。受給者が750ドル分の追加給付を受けられることは確かだが、その追加給付分に対しメディケアは1,750ドルを支払っている。受給者にとっては、追加給付を受けられることから、通常MAプランをより好み、近年加入者数は急増している。現在、メディケア受給者の4人に1人がMAプランに加入している。

メディケアFFSと比較した場合の各MAプランの超過分


メディケアは2009年、MAプランに対し、メディケアFFSと比較して14%多く支払いを行っている。議会が節減元に定めているのは、この超過分のコストである。下院案はベンチマークの率を各郡における受給者1人あたり平均メディケアFFSコストの100%に定めるとしている。上院案は、ベンチマークを各プランの入札額の加重平均にするとしている。いずれの場合も、節減額は相当なものになる。しかし、ベンチマークが低くなれば、プランは現在提供しているようなレベルの追加給付を維持することはないだろう。つまり、こうした追加給付分が削減されることは事実だが、メディケア・パートAおよびBの従来の給付が削減されるわけではない。

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